【本の感想】人間の幸福(宮本輝)
これはまた不思議な本だった。
人間のフクザツな感情。
頭だけで考えたら考えられないようなことをやっちゃうこともある。
自分の中にも説明ができない感覚もある。
身近に起こった殺人事件をきっかけとして、
ご近所さんや仕事仲間などの、今まで知らなかった一面を知ることになる主人公。
主人公も自分の内面性と向き合い、葛藤しながら過ごすこととなる。
読んでいて、人々の心模様や隠している顔を覗き見ているような感じがした。
私の中にも野次馬根性があるし、人の秘密を知って面白がるところがあるんだなとすごく思った。
まさに千差万別、人は見た目では何もわからない。
幸福も本当に人それぞれなのだ、人と比べて幸せか幸せじゃないかなどとすることでもないのだなと。
きっと人と比べているうちは「私は幸せ」とは思えないんだろう。
人と比べることなど意味はないと思っていても、どうしても比べてしまうことって日常。
少しずつ視点を変えていけるようになれたらいいな。