【本の感想】百人斬り裁判から南京へ(稲田朋美)
向井敏明少尉と野田毅少尉が軍刀に手をついて並んで立っている。この二人の少尉は、昭和十二年、シナ事変での南京攻略戦においてどちらが先に日本刀で一〇〇人の中国人を斬り殺すかという殺人競争をした「虐殺実行犯」として、その罪で敗戦後、南京軍事裁判にかけられて銃殺刑に処せられた。
(略)
向井敏明少尉の遺書
辞世
我は天地神明に誓ひ捕虜住民を殺害せる事全然なし。南京虐殺事件等の罪は絶対に受けません。死は天命と思ひ日本男子として立派に中国の土となります。然れ共魂は大八州島に帰ります。
我が死を以て中国抗戦八年の苦杯の遺恨流れ去り日華親善、東洋平和の因ともなれば捨石となり幸です。
中国の御奮闘を祈る
日本の敢奮を祈る
中国万歳
日本万歳
天皇陛下万歳
死して護国の鬼となります
十二月三十一日 十時記す 向井敏明
野田毅少尉の遺書
死刑に臨みての「辞世」
此の度中国法廷各位、弁護士、国防部各位、蒋主席の方々を煩はしましたる事に就き厚く御礼申上げます。
只俘虜、非戦闘員の虐殺、南京屠殺事件の罪名は絶対にお受け出来ません。お断り致します。死を賜はりましたる事に就ては天なりと観じ命なりと諦めて、日本男児の最後の如何なるものであるかをお見せ致します。
今後は我々を最後として我々の生命を以つて残余の戦犯嫌疑者の公正なる裁判に代へられん事をお願ひ致します。
宣伝や政策的意味を以つて死刑を判決したり、面目を以つて感情的に判決したり、或は抗戦八年の恨をはらさんがため、一方的裁判をしたりされない様に祈願致します。
我々は死刑を執行されて雨花台の散りましても貴国を怨むものではありません。我々の死が中国と日本の楔となり、両国の提携の基礎となり、東洋平和の人柱となり、ひいては世界平和が到来する事を喜ぶものであります。何卒我々の死を犬死、徒死たらしめない様に、それだけを祈願致します。
中国万歳
日本万歳
天皇陛下万歳
愕然とするおもいである。
なぜ、今まで知らなかったのだろう。
人間ならば、日本人なら特に、心動かされない人はいないとおもう。
もしも私が冤罪によって明日にも命を失おうとしている立場だったとしたら、この二方のようなおもいに至れるだろうか?
今、生かされている私たちは、二方のおもい・死にこたえるような生き方をしているだろうか?
それに、このような遺書を書く人が、いわれているようなことをするとは思えない。
それが私の素直な感想だ。
学校で嘘は教えない、とは限らない。
この遺書を読んでもらうことが一番の教育ではないのかとおもう。
このようなおもいで死んでいった二人に、一番後ろ足で砂をかけているのは、同じ日本人ではないのか。
知らずにいた私ではないのか。
稲田さんの純粋なおもい、遺族の方々のおもいにも心打たれる。
私に何かできることはないだろうか。
それで、ブログである。
もしも、共感して、この本を読もうとおもってくれるひとがいたら嬉しい。
まずは知る事、そこから何を学んで、どう活かしていくかが大切なんだとおもう。
(Amazonより写真引用)
【本の感想】黄色いマンション 黒い猫(小泉今日子)
同じ学び仲間のKさんよりお借りしたこの本。
エッセイ。
ひとつひとつが短く、わかりやすく、読みやすかった。
小泉今日子という人に興味が湧いた1冊。
すごく自然体で、楽しそうで、読んでいて、こちらも楽しくなった。
自然体、というのは簡単なようでいて、けっこう難しい。
それができている人というのはやっぱりすごいなあと思う。
お母さんやお姉さんなど登場人物が興味深い。
【本の感想】愉楽の園(宮本輝)
タイを舞台に一人の女性が立ち直るストーリー。
立ち直る…という言い方が合っているのかどうかわからないですが、どう生きていくかを決めるまでの物語という風に感じました。
女性というのはふらふらと決められない心があるもの。
けれども決めたら強い。
ここまで何作品か読んできて、宮本輝という人の輪郭が少しずつわかってきたような気がしました。
【本の感想】オレンジの壺(宮本輝)
離婚して傷心の女性が、新しい生き方を見つけていく物語。
第一次世界大戦と第二次世界大戦の間に、祖父がどのように生きていたかを遺された日記とともに主人公も読者も、たどってゆきます。
日記や手紙から想像される姿、生き方、考え方…。
不幸なことなど何もない、しかし決して幸福ではない佐和子・25歳。その彼女の生き方を変えたのは、残された祖父の日記帳だった。パリで暮らした祖父の本当の姿を捜し求めることで、大切な何かを追い求めていく彼女が見つけた答えは!?息づまる展開の中、普通の一人の女性の成長を描いた宮本文学の傑作。
(引用:Amazon)
最初、推理小説のようなノリで読んでいますと、読み進むにつれて、ちょっと違和感を感じられるのではと思われます。
結末ではまったく裏切られた感じになるでしょう。
けれども、こういう終わり方もそうだなと思わせてしまうところが宮本輝なんでしょうね。
【本の感想】波の塔(松本清張)
文で読んでみたいなあと思いつつ、ドラマでしか知らなかった松本清張。
いただいたので読んでみました。
司法修習生の小野木喬夫は、観劇中に隣席の女性が気分を悪くしているのに気づき、医務室へ連れて行く。周囲にその女性の同伴者と思われているうちに、小野木は彼女をタクシーで送ることになり、そのまま縁が切れるのを惜しむ気持ちになる。一週間ほど経ち、小野木のもとに、名刺を渡した彼女-結城頼子から電話が来て、夕食の誘いを受ける。検事になった小野木は、その後も自分を誘ってくれた結城頼子を愛するようになるが、彼女は自分の住所もはっきり答えず、秘密めいたところがあった。気持ちを確かめようとする二人の運命は…。
(引用:Wikipedia)
上巻の真ん中あたりからグイグイ引き込まれて、一気に読んでしまいました。
あとがきに、この波の塔は雑誌に連載されており、大変な人気だったとあり、波の塔の重要な舞台となる深大寺と富士樹海が有名になったと書かれてありました。
知らなかった…。
でも、とても面白かったですよ。
やはり登場人物が魅力的、ということでしょうか。
結末は、賛否両論よんだであろうと推測がつきますが、
このように描いた松本清張の心理や、
どのような意味があるのだろうかと想像することは楽しいことです。
余韻に浸れる本です。
【映画の感想】ズートピア
先日、ズートピアを観ました。
ほとんど期待していませんでした。
ただ、いいよと聞いたことと誘ってくれた友人がいたので観ようと思っただけのことでした。
感想は、素直に良かったです。
ヒットするのが分かる。
観て良かった。
ストーリーは単純といえば単純で、先が読めると言えば読めるのですが、でも不思議に引き込まれます。
弱いものと強いものの関係、心の中の差別、信じる心…。
いろいろと自分を振り返って、自分の心に向き合って反省するところは反省してちゃんと生きることは、自分の為だけじゃなく、周りのためでもあると思いました。
迷惑をかけずに生きていきたいけど、心をキレイにしなければ迷惑をかけずには生きていく人にはなれないのだという風に思いました。
こういう映画がヒットするということは、
人はもういいかげん争うことに疲れているのではないのかなとも思いました。
宗教や価値観やいろいろ、もういいじゃん、仲良くしたいよね、と。
歌もとても良かったです。
誘ってくれた友人に感謝。